2011年9月17日土曜日

書評:ペンギン、カフェをつくる


『ペンギン、カフェをつくる』
三谷宏治 著

BCG、アクセンチュアときて、コンサルタントを辞め、PTA会長をやったと驚いていたらKITの教授になっていた三谷宏治さん。アクセンチュア時代にはプロジェクトをご一緒することは出来なかったけど、何度かお話しさせてもらった方です。
一言で言うと「面白い人」。日本語の面白いは捉え方が難しいが、それらを全て包含した面白い人です。

知っている人の書評だからといって、良い事ばっかりは書きたくないので、ストレートに思ったことを書いてみます。

まず、非常に読みやすかったです。これは本当。でも、読みやすいので、読んで終わったという印象もある。最後に補講としてまとめがあるんですが、それがあって初めて何だったかを思い出し、咀嚼できる。つまり一気に読んだほうがいいです。
あなたが2時間~3時間、ゆっくり時間をとれる時に、もちろんカフェで読んでみてください。


さて、内容ですが、発想に関するお話しで、ペンギンのルークがカフェを作るエピソードに沿って、かつ講義とエピソードを交互に配置した、ビジネスにおける発想力について気づきを与えてくれる本です。

ルークのエピソードにちょっと無理があるのは確かにあるんですが、経営が難しい代表的な業種の一つ(*)である飲食を目指す若い人はこれを読んでいろんな気づきを得て、それについて勉強してからでも遅くないでしょう。
* 飲食店とアパレルと思っています

人に興味を持ってもらうために必要なこととして、「あれっ?」と思ってもらう、目に止まってもらうということがあると思います。それには、その人(お客さん)にとってこれまでの尺度では測り切れない、その人の常識を逸脱したものを提示する必要があると思います。
そのために常識を疑い、いままでの世界から離脱することが必要だと言っています。
これは本当にその通りで、コンサルティングをやっていると、「うちは今までこうやって稼いできたんだ!!」みたいなおじさんとかが居ます。そんな人に「これからはそれで稼げるんですか?」なんて言っても怒られるだけ。ここに例示されているようなものを見せながら常識から離れる道筋を描いてあげる必要があるかもしれません。

ちなみに、この辺のことが書いてある第1講の参考書籍に『その数学が戦略を決める』 イアン・エアーズ著がありますが、現在、原著の『Super Crunchers』を読んでいます。読んでる途中ですが、今の仕事にフィットしているので熟読中です。

その後も、第2講では「面白い」視点として宇宙人や外国人の視点などを取り上げ、第3講で宮大工という普段接することができない職業を取り上げるなど通常であればあっち行ったりこっち行ったりな話題の飛び方で話が進みますが、それでも飽きさせない興味深い話題が続きます。

最後の第4講では言葉に触れ、本質を見ぬいた表現としての言葉の選択について述べられています。

繰り返しになりますが、話題としては飛んでいますが、発想力について筋の通った展開になっています。そのため飽きずに最後まで読めるのではないでしょうか。
行き詰まり感のある人はもちろんですが、多くの人に読んでもらいたい本です。


余談ですが、三谷宏治さんと、細谷功さん、どちらも思考法について様々な著作がありますが、お二人とも1964年生まれで東大卒(三谷さんは理学部、功さんは工学部)。共通点が多いなぁ。
知り合いだったら面白い。
二人が対談したら、どうなるんだろうか。面白いのか、周りはついていけなくなるのか。


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