2011年2月18日金曜日

書評:起業のファイナンス

『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと』
磯崎哲也 著

Blog isologueや、twitter ( @isologue )で良質なお金にまつわるつぶやきを提供していただいている磯崎哲也氏が出版された本ということで、早速手を取ったのは昨年のことです。(書評を書くまでに時間がかかりました。)
手を取ることになった経緯は、これまでのコンサルティング経験で「事業として何をやるべきか」という話はしても、実際に資金の調達を始めとするフェーズに携わってこなかったため、実務家の入門書を読んでみたいと思ったのがきっかけです。読む前から、ベンチャーに限らずファイナンスの概念は捉えられると、ある意味タカをくくってました、すいません。

読んだ感想としては期待以上の気付きや、何を知る必要があるかという枠組みを理解する事ができたということが挙げられます。
自分の仕事のやり方として、必要となる情報がどこにあるか分かっていれば、必要な時に調べる、もしくは知っている人に聞くのが常です。そういう意味では、そのためのインデックスを自分の中に作ることができたと思っています。

これから、本書を活かす時が遠からずくると思っているので、実践してみての感想はいずれ。


さて、実は中身から気付いたこととして1つ書評という枠組みから出るコメントを残したくて、書評を書くのに時間がかかっていました。
それは、この本を読んでもらいたい読者層として、おそらく想定されていないと思う次の方々に読んでもらいたいという気付きです。

事業会社(特にIT関連)のM&A担当者は読んでください!(懇願)

なぜかというと、イケかどうか分からないが可能性のありそうなベンチャーに”投資”という名目で出資し、いきなり売上責任を課し、伸びシロを殺してしまおうとしているケースを見たからです。

イケてるベンチャーの全てが即時マネタイズに成功するわけでもないし、ビジョンやポリシーがはっきりしているが故にマーケットでの認知に時間がかかったり、ニーズを掘り起こしている最中だったりと、直ぐに売上や利益を創出できる訳ではないと思います。
事業の拡大だとか、要素技術の獲得や人材の獲得を狙った買収対象としてイケてる(かも)ベンチャーが標的にされているのを見ると、こうやって日本のインターネットビジネスは遅れを取っていくんだなと思いました。

今から起業しようとしている人にも伝えたい。
事業買収のつもりの出資者よりも、キャピタルゲインをねらう出資者の方が、あなたのためになるかもしれないですよ。

でも、事業買収のつもりでの出資者の全てが悪いわけではありません。(念のため)  ←本文中に使われる表現を使わせていただきます。

P.S. 「イケてるベンチャー」が流行語大賞になるようなマーケットになると楽しいなと思います。

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