2012年8月27日月曜日

週刊ダイヤモンドのオンライン記事 ~シャープ奥田社長へのインタビュー ~を読んで



週刊ダイヤモンドのオンライン記事 ~シャープ奥田社長へのインタビュー ~を読んで感じた事を書きたいと思います。


こういった記事の重要さを書く側が認識してない(※)のは相当困ったもんなのだが、インタビューに応える側としても、ちょっと問題を感じたのでメモ程度になるかも知れませんが、書いておきたいと思います。

※このオンライン記事、おそらく紙媒体の訂正記事だと思われ、訂正内容が目につきますどういう編集プロセスを経るとこうなるのか不思議です。


以下、主に企業側の意識の問題を指摘しています。
一言一句の揚げ足取りに見えるところもあると思いますが、私は言葉に想いが乗っていると考えていますのでそういう指摘の仕方になります。もし違った表現をされたのであれば、伝え方の問題か、記事の編集に悪意があるかのどちらかでしょう。

企業として未確定情報を話すことができないのは重々承知した上で、IRとしても、広くPRとしても問題を感じる所を指摘しています。


まず、次の一文。
私も格付け機関などに足を運んだが、格付けの低下によって、今後はCPなどの直接金融による資金調達が難しくなるだろうと思っている。
こういった因果関係を外した言い方には問題があると思います。
この切り取り方に悪意があるわけでは無いですが、直接金融が難しくなることは、格付け機関のせいと思っているのか?と感じる。そんなことは無いだろうと信じたいが。
ここは大きく、事業の見通しを示せていないと自社経営陣のパフォーマンスに対してしっかりと責任ある発言をしてもらった方がいいのではないかと思います。


次に、
──足元の財務状況を踏まえたらこれでは済まないのでは。
 銀行側とは、お互いに協力し合いながら、12年度下期(*)の営業利益の黒字化と、13年度の最終利益の黒字化を目指すことで一致している。それをきちっと達成できるように考えていきたい。
私の考えすぎだと言われるかも知れませんが、銀行と経営しているように見えませんか?日本企業(特にメーカーに色濃く)は、銀行に対して弱い。株主よりも銀行を意識しているような気がしてならないです。
──資金をサポートする銀行側と、事業を手がけるメーカー側の立場の違いもある。
 金融業界の方々と、事業会社をやっている人とでは、やはり感覚が違うところがある。金融業界は、非常に短期的な見方がある。しかし今は短期的な問題と、長期的な問題を、どう切り分けながら解決していくかが重要だ。
 銀行側とはお互いに情報交換しながら進めていくことが重要だと痛切に感じている。ただ事業をやっているわれわれが、強い信念を持たなければならない。

金融業界というか、お金を出した側は、その回収に対して注力するのが当然で、短期借入を銀行からしているのであれば、短期的な見方で当然。長期的なものの見方をしてもらうようなお金の借り方ができていないだけでしょう。

この記事では素晴らしい切り込み方をしていますが、次のやり取りも興味深いです。
──そもそも赤字事業である太陽電池は、国内に製造拠点を持ち続ける理由があるのか。
 国内の住宅用の太陽電池「ブラックソーラー」などを作っている。いろいろな屋根のデザインに応じた細かな提案ができるため、お客さまからの引き合いが強い。これは海外では調達できない。

上記の後にくる言葉として「売るのが難しい」というのは本音だろう。しかし、上記部分は回答になっていない。引合いが強いと赤字解消が望めるのか?需要は有っても期待価格水準が下がっていないか?そう考えてしまうのが通常の読み手だと思う。


残りは、インタビュアーの素晴らしい切り込みを続けてご紹介。
──赤字の元凶となった大型の液晶パネルはどうか。 
──シャープの液晶パネルや太陽電池など、「オンリーワン」のデバイスは魅力的だが、経営上の数字が伴っていない。 
──コスト的にメリットがあれば、鴻海グループに売却、譲渡するということか。
結構、聞きにくいこと、答えにくいことをスパっと聞いたのだろう。全体として記事の歯切れは良く、読みやすいのだが、うっかりすると上記のような点を忘れがちだと感じたので残しておくこととしたい。

2012年8月24日金曜日

高木先生と武雄市の樋渡市長のブログでのやり取りについて


高木先生と武雄市の樋渡市長のブログでのやり取りについて、思うこと、分からないことをちょっと列記します。
ご指摘いただける部分があれば幸いです。

1.高木先生は何を批判したいのか?

これね、結構重要なことだと思うんです。
私が感じている範囲だと、「批判の対象者が、自身の個人情報に対するスタンスについて、明文化されているものと発言しているものとで異なるものの場合、個人情報保護の観点からリスクがある」という主張をもっていて、それを指摘したいというのと、個人情報取扱いにおける明らかな間違いを指摘したい、というように見受けられます。

批判の対象者は基本的には全方位。しかし、行政とTカードは要注意先となっているようなイメージ。
武雄市について何を批判したいと思っているのか?については次に紐解きたいと思います。

2.武雄市の何がいけないのか?

実は、さっぱり要領を得てません。グレーゾーンだよというのならしっかりと議論すれば良いのですが、高木先生も樋渡市長も、お互いに「間違ます」と仰っています。
しかし、ブログを見る範囲では、双方に対する間違いを、明らかに指摘できていないとおもいます。(←私が個人情報取扱に関するプロではないから分からないというのは批判の質としては不十分でしょう)

まず、高木先生の指摘ですが、
照合によって「特定の個人を識別することができることとなる」場合を含むとの括弧書きが欠けている
というものです。
う~ん、私の考え違いだとも思えるんですが、条例や契約の文書に書かれていることって、裁判になった場合、例えばこの括弧書きがあるかないか、その中身がどうであるかよりも、判例に従う部分の方が強いと認識しています。
とした場合、「括弧書きがあっても無くても変わらなくね?少なくとも文書上は」というような印象を受けます。

となると、指摘するなら条例の条文ではなく、実際の運用を確認した方がいいと思うのですよ。
私、コンサルタントというものを生業としているもので、ルールの正確性よりも、ルールに基づいた運用をしているか?であったり、運用が法令から外れるようなことは無いか?ということの方をよっぽど重要視しています。
運用が正しくてルール(文書)が間違っているケースも世の中には存在しています。その場合正すのはルール(文書)です。

もう一つの指摘の、Tカードにどんな情報を提供するのか?の部分ですが、こっちはもっと要領を得ない訳です。
以下、高木先生のブログからの抜粋的引用になりますが、
Tカードを利用してポイントが付くようにしてほしいと希望された方
においては、
個人が特定できる情報ではなくて、Tカードを使うと会員番号と何月何日何ポイント付いたという情報がCCCのポイントシステムにいく
というのが「7月10日の武雄市教育委員会臨時会の会議録」にあったそうです。それに対して高木先生、
そらみろ、条例でちゃんと明文化しないからこういうことになる。
え?こういうことってどういうことですか?質問されるってこと?
一方、樋渡市長は、上記のCCCに行く情報を言い換えていて、
会員番号の何とかさんが図書館で何時何分何点借りましたって、うん、いうのだけ行くんですね。ですので、そういう意味じゃこれ個人情報じゃないんですよ
という情報だと言っていて
高木先生、
どうしてこうも個人情報でないことにしたいのか謎と言わざるを得ない。
とありますが、私が今、客観的にみると、

どうしてこうも個人情報ということにしたいのか謎と言わざるを得ない。

となります。ちょっと語弊があるかもしれないので補足しますと、
公開するべき情報ではないというのは確かにその通りですし、漏洩したらなんらかの対処が必要であるのも間違いないです。
また、『他の加盟店での利用履歴を基に、その人が、図書館で本を沢山読む人で、文房具を良く買う人だから、~~~という類型に当てはまる人だから、~~~なことをする。』という活動がダメだというのなら、それは武雄市の問題ではなく、CCCの問題なので樋渡市長に言うのはお門違いです。

で、上記の情報が(個人情報保護法に定める)個人情報だろうがなかろうが、CCCに渡す上での同意は得る必要があって、武雄市でも
こういうふうに情報が提供されますが、いいですねと規約をお見せして同意をいただきます
とある。それに対して、高木先生、
現状のTポイント加盟ドラッグストアと同程度のことしかしないつもりのようだ。こういうことを自治体がする場合には、重要となるのは「こういうふうに情報が提供されます」だけでなく、「こういうふうに利用されます」という説明なのに、それをしないつもりなのか。
とあるが、続いて
実は、「こういうふうに利用されます」というのは、誰も説明できないかもしれない。なぜなら、CCCがそれを企業秘密として明かさない*2からだ。
え?さらに続いて
ひとつのやり方は、ポイントの払い出し以外の目的(マーケティングその他のため個人を分析する目的を含む)での利用を禁止する契約をCCCと締結することだろう。そうすれば、Tポイントの図書館での利用についての利用者の同意をとることは容易となる*3
ということは、根本的に言えば、自治体がTカードの利用をすることが間違いだと言いたいのだろうか?

ここまで追いかけて頂いた方には分かっていただけると思うが、
武雄市の個人情報取扱に対する指摘は、何が正しいか、間違いかという話ではなくて、どうあるべきか?という議論をした方がよい。
一方で、自治体がTカードを利用することについては、自治体という位置付けから考えて正しいか、間違いかという議論だろう。

上記のやり取りや、高木先生の主張、私自身の理解に基づいて言えば、自治体がTカードの利用をすることは、問題が多く、高いリスクとなることも多いので、利用することは合理的とは言い難いので控えるべきだという理解です。



残る疑問は、個人情報ってそもそもどういう定義?です。
個人情報保護法に則った定義は勉強不足で知りませんが、個人の感覚としては高木先生が仰っているのは過剰じゃないかと思ってしまいます。

世の中には、高木先生くらいの個人情報に対して保守的(?)な方もいらっしゃると思いますが、企業が十分な情報を得ることにより、私達の生活が豊かに、便利になることもあるわけで、その選択ができればいいのだと思います。

高木先生の指摘は分かりますが、もう少しやわらかい物腰で批判してもらいたいなぁと思いました。

2012年8月3日金曜日

ダイアモンドオンラインを読んで

ダイアモンド・オンラインのデモの参加者にも広がり始めた焦りと無力感 「脱原発」意識の二極化現象に覚える違和感の正体 (記者:宮崎智之) を読んで、相当疑問に思ったので残します。


まず、最初に思った事は
「凄いな。無茶苦茶書いとる。。。」
です。

やはり、適正、的確な一般化ができない人はニュース記事を書くべきではないと思ってしまいます。

個人的な意見を最初にまとめておくと、人の考えを変え、行動に移させるには、伝えるための文章を始めとする表現には非常に気を配らないといけないし、そのための支援行動も綿密に計算されたものであるべきだと思っています。
「脱」原発論にはそれが足りてません。(私は自分の時間を「脱」原発にそれ程費やす気がないのでやりませんが)


というスタンスで、ポイントを幾つか引用しながら指摘したいと思います。


全国的に見ても「脱原発」への意識が高いはずの若い世代の票ですら、飯田氏に思うように集まらなかったことは、意外に思える。
私の考えでは、全然意外じゃないです。理由は二つ有ります。

なぜなら、飯田氏は、即刻原発を止めろという強烈な反原発論者。若者一般の意見をまとめたことは無いが、投票に行くような若者はもう少し合理的な思考をしているか、保守層なので、飯田氏には入れるとは思い難い。
飯田氏のような極論を言わなければ「脱」原発論は浸透するだろうと思います。
有権者、投票者が、そのことを理解していたのではないかと思えることが意外ではない理由の一つです。

もう一つの理由は今、山口県民の関心事は原発なのか?岩国基地問題とか、他にもあるんじゃないだろうかと思います。(山口に詳しくないので想像です)



「脱原発」の意見が全くと言っていいほど政策に反映されない現在の状況は、不可解であることは間違いない。

いや、不可解でもないし、ほとんど反映されてないというのも疑問です。
お金の使い方が大きく変わっているし、意見聴取会もやってるじゃないですか。政策ってそんなにドラスティックに変わるのは総選挙の時だけじゃないでしょうか。

むしろ、なんの検討も、選挙も無しに、「即座に原発50基廃炉に向けて予算化します!」なんて言ったらそれこそ不可解です。
これだけやって、解散総選挙にならないのが不可解というのならそれは大賛成。



こうしたデモを健全に盛り上げるためには、マスコミにどれだけ取り上げられるかも重要になってくる。しかし、ある関係者によると、マスコミでもデモ報道の取り扱いに対して慎重な態度をとるケースが多いようだ。

マスコミが信頼/信用されなくなってますからねぇ
仕方のないことでしょう。



まさにその政治が頼りにならないがゆえに、国を巻き込んだ議論が不完全となっている側面が大きいのが現実である。

この文章、流しちゃいそうになりましたが、政治と国と分けていますが、対象はどのように違うんでしょうね。
政治家が頼りにならない?国民を巻き込んだ議論になってない?と言いたいんでしょうか。

個人的に相手に考えを理解、浸透させて、実行してもらうことを生業としているので良く思うのですが、こういった細かい気配りを文中でできないと、人は動いてくれません。



五十嵐教授、良い事言ってますが、

少なくとも脱原発を実現したいのであれば、誰に入れたら良いのか、有権者に対してわかりやすい選択肢を提起する必要があるでしょう


僕、そんな人知りませんが。。。
「脱」原発を推し進めてくれる政治家って今はいないし、出てくるとも思えないです。そこが根本原因なので、デモも効果が薄い。というか解決には至らないと思っています。



五十嵐教授、こうも言ってます。
現在の政治家は、アメリカや業界団体、官僚組織の意向を重視するばかりで、民衆の声が届いていません。

ということはつまり、国民と。業界団体や官僚組織の意向にも差があるということですよね。
業界団体の意向はどのように決まっているんでしょうね。国民と呼ばれる集団の一部の人が所属している団体なので、その団体を代表する意見をそれぞれの人が持っているはずですよね。官僚組織に属する人はやはり国民ですよね。

上記と関係ない人が国民の大半だとすると、なぜその意見が強く押されるんでしょうね。
投票率が概ね50%以下になる仕組みが悪いんでしょうね。
なんでもかんでも政治家のせいにするのはやめましょうよ。



以上が、記事に対する意見です。