2012年10月24日水曜日

ソフトバンクによるイー・アクセス/SpringNextel買収のインパクト

本件について、感じていることは色々あったのだが、以下の記事を読んで、やはりちゃんと整理しておこうという気になりました。
なお、タイトルに買収とありますが、ニュースリリースでは経営統合という表現が為されていましたが、実態としては正直買収と認識しました。そういったこともあり、買収と表記しています。
攻勢かけるソフトバンク、NTTドコモは縛りを解かれ世界企業に飛躍できるか
最後のページまで読み、「っていうか、誰が書いたんだろう?」と思ったら大前研一さんじゃないですか。ちょっと意外でした。
その意外な部分も含めて整理していきたいと思います。

インパクトその1

ソフトバンク内部と買収された側へのインパクトをまず考えてみたいと思います。
当然謳われている調達コスト削減効果は、よほどの事がない限り実現できると思われます。(注:よほどの事が起きそうな気配があるので、米下院の中国系通信機器メーカーいじめは要ウォッチでしょう)

ソフトバンクモバイル(あえてソフトバンクモバイルとします)は、iPhineあっての急成長だと言えると思います。「無かったら成長してないだろ!」とかそういう話ではなく、Vodafone買収の時に想定し得るベストケースよりも急激な成長を果たすことができているだろうということです。(事実、借金返済は大きく前倒ししました)
しかしSpringNextelはiPhoneを取り扱ってません。これをどう解釈するかは人によって別れるところかも知れませんが、ソフトバンクモバイルとしてはそれを上手く使ってくると思います。要は、『iPhoneなしでこれだけの契約を持っているのだから、iPhoneあったらどれくらい伸びるだろうね~』ということです。あ、もちろんiPadも上手く使ってくると思います。
具体的にはローミングという概念をぶっ壊して来るのではないかと思っています。日本でもアメリカでも変わりなくサービスが連続的に利用できる状態を作ってくるのではないかと思います。(ただ規制のところでも触れますが、一方通行な可能性はあります)
端末戦略とサービス戦略のオプションが広がるといえるのかなぁと思っています。
そういう面で、上記大前さんの記事にある
国内の携帯戦争は、ソフトバンクのイー・アクセス買収をきっかけに価格からサービスに競争の舞台が移ったことを示している。
というのは非常に同意できるポイントです。

イー・アクセスの買収によりイー・モバイルの通信基盤を手に入れたということは、周波数の厚みが増したということはもちろんあって、非常にインパクトがあるのですが、狭い日本の国土を考えると、基地局を敷設できる土地を獲得できたという見方をするとより長期的な安定を手に入れることになるかもしれません。(ソフトバンクどうやっても孫さん一代限りの企業だという認識もあるでしょうが)

総じて言うと、内部向けのインパクトととしては、市場環境への変化に対応するために取り得るオプションが増えたということじゃないでしょうか。

インパクトその2

ユーザーにとってのインパクトを考えてみたいと思います。
上述の、競争のポイントが価格からサービスに変わったという事象は、元々価格弾力性が比較的低いと言われてきた通信サービスですが、そうは言ってもインパクトがあったのですが、コレ以上は中々下げにくいというところにきている事から、サービスに変えざるを得ないということも言えると思います。また、ユーザーとしても、単に安いというだけでは満足しなくなったとも言えると思っています、

ではそんな環境において、ユーザーにとって、何が嬉しいサービスになるのでしょうか。
幾つか挙げられるとは思うのですが、その期待が通信キャリアに期待しているものでは無くなっているのではないかと思います。
かと言ってキャリアがやることが無いわけではありません。そこは様々あるのですが、正直商売ネタなので秘密にさせて下さい。抽象的な言い方をすれば、『黒子が舞台の出来を左右することもあるのでは?』という事でしょうか。
とは言っても目に見える変化を挙げさせていただくと、上述のローミングサービスの概念をひっくり返して日本国内のユーザーがアメリカでも使いやすいようなサービスが出てきたり、EMの基盤を活用して繋がりにくさの要因を一部除くことができることも確かだと思います。あとは、もう少し価格が下がるかもしれません。

懸念があるので挙げておくと、法人サービスはソフトバンクテレコムが行なっている部分が多いですが、EMの法人サービスとの統合がどのように為されるかが気になります。別の言い方をすると、auの法人営業部隊はこのタイミングでFixedとMobileのウマイ組み合わせのご提案を持っていけばシェアを一気に広げることができるでしょう。docomoはFixedの提案ができないので、チャンスはこれまでと変わらないでしょう。

インパクトその3

競争環境であったり規制に対するインパクトを考えてみたいと思います。
これが、大前さんの記事で凄く違和感のあった部分です。そこの解説を中心に考えてみたいと思います。

「ドコモとKDDIの合併という大技もあり得る」と大きく出たことを仰っているのですが、正直厳しいですよね。【あり得る】という意味では今回の件があろうがなかろうがあり得るわけで、今回のインパクトによりその可能性が増したということは考えにくいと思っています。
大前さんは、新日本製鉄と住友金属工業の合併を引き合いに、シェアの問題からその可能性が高まることに言及していますが、通信の顧客はほとんどが国内在住の消費者と、国内に拠点を持つ法人ですが、鉄鋼の場合は売上比率で海外が上回っていたはずです(すいません、調べてません)。ですので、公正取引委員会が世界シェアという尺度を採用したと言っても、ドコモがKDDIを買収することを容認できるかというとまた別の話しだと思います。また大前さんもご存知のはずですが、NTT法というものがあるので、その法改正がなければ議論さえまともにできないはずなので、夢のような話しだと思います。
ただ、
固定電話時代の法律や公取の考え方を一度オールクリアして、世界を単一市場と見なす全く新しい発想の法体系を作るべきだ。
ということが言いたかったのだと思っています。

その他規制の話し、特にインパクトその1で記述したローミングやサービスの多様化の件に関しては、現代ビジネスの記事、『ソフトバンクのスプリント・ネクステル買収が迫る情報通信政策の開国』に詳しく書かれているのでこちらを参照ください。
あと、記事に対する違和感として挙げておくと、P.1のグラフを見て思ったのですが、ドコモは基本Mobileのみで、KDDIにしてもFixedとMobileでの時価総額ですが、ソフトバンクにはYahoo! JAPANも乗せた評価になるので、不公平感は否めないですね。Mobile単体での評価だと、現時点ではdocomo、au、SBMという評価になると想定しています。

インパクトその4

キャリアよりも上位レイヤーでビジネスしている人々にとってのインパクトを考えてみたいと思います。
と思いましたが、商売ネタなので止めます。すいません。機会があれば(書けるようになれば)また書きます。

2012年10月23日火曜日

行政機関が専門家を雇う事の必要性

先日の誤認逮捕の件もそうですし、地方自治情報センター(LASDEC)の「地方公共団体における情報システムセキュリティ要求仕様モデルプラン(Webアプリケーション) https://www.lasdec.or.jp/cms/12,28369,84.html 」もそうですが、行政機関はもっと積極的に各種専門家を雇う事を進めた方がいいと思います。
今の警察は、あの手の手法でPCを乗っ取り、そのPCから違法行為を行ったとしても、その犯人を捕らえる能力が無いということが知れ渡っている状態です。もっとも、本気で個人情報を盗みに行った場合、盗まれた側は本気で犯人特定を行うと思われ、警察にそれができないことがわかっていれば自ら専門家を雇うのではないかと思います。ですので、そんな無謀なことをイチイチしないか、自分の能力を顕示しようとして行う犯行でしょうから、ある種牽制は働いていると言ってもいいと思います。(というのと専門家を雇う必要性がないというのは別の話し)
地方公共団体における~、も受注する側が一般の競争環境における責任以上のものを負わされる形(に見える)になっているのは、地方公共団体にはセキュリティの専門家が居ないという事実を認めているためだと思います。( https://plus.google.com/113216821510704582106/posts/54SA2pktmkW )

この時、専門家のフィーは高いから云々かんぬん言う人もいると思いますが、そういう専門家の居ない地方公共団体に、自分の重要な情報を保管されているという状況をどう思いますか?自分のパソコンから重要な情報を盗まれた時に、警察が頼りにならないとしたらどうですか?

私個人としては、行政機関に各種専門家がいる安心できる行政を期待しています。

2012年10月19日金曜日

やまもといちろう氏が羨ましい

やまもといちろう氏のブログはよくチェックしている。
twitterでのつぶやきを先にチェックしていたら、以下の様なつぶやきを発見した。
さて、どんなポストだろうかと見に行った。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/10/post-ac5c.html#more

読んで頂ければと思う。

酔っていたとしても、いや酔っていながら、これだけ赤裸々に自身の内面について晒すというのはおそらく私にはできない気がする。

自分に自信があるからこういう書き方ができるんだろう。
孫さんは攻めることが守ること、でもそんなことを実践できるのは極々限られた人だけ。

守ることで守る人のなかでもやまもといちろう氏は自信を持って批判できる数少ない人。

自分がそんな人間になるには、どんな時間の使い方をすればよいのだろうか。

2012年9月20日木曜日

JALの高収益はゲタ履いたものなのか?

HBRの記事を読んでいて、ちょっと気になって調べたことがあるので、メモ。
(Google+に投稿してましたが、長くて読みにくいかとも思ったので、コピペですが)

JAL H.24.3 短信 http://www.jal.com/ja/investor/library/information/pdf/h24_4q.pdf
ANA H.24.3 短信https://www.ana.co.jp/ir/kessan_info/kessan_tan/pdf/tan_120427.pdf

>「やればできるじゃないの!」という話だ。それにしても、「だったら、なぜもっと前からできなかったのか……」という素直な疑問が出てくる。華々しいV字回復は、破綻以前の日本航空の経営がいかにユルユルだったかを改めて浮き彫りにしている。
こういうのって、実態を知っている人が軽々しくいうことじゃないと思うんです。ましてやHBRで。
経営破綻したから、あれだけの人員削減を実施することができた。(というか破綻してても合理性の評価で揉めた)
あれだけ大量の人員削減は、「業績が悪いから」というだけではできないでしょうね。

本文の流れとは逆になりますが、
>破たんを経験している日本航空の場合、繰越欠損金の優遇策の恩恵で、2018年度までにおよそ4000億円の法人税が免除される。
とありますが、税引き前当期純利益で見ると(以降、いずれも単位は百万円)
JAL:168,583
ANA:55,940


>所得税の手前で、債権放棄によって金利負担も軽減されている(だから経常利益と営業利益の差が小さくなっている)。
期末の数字だけではなんとも言えませんが参考値として(JALは期中にかなり返済している)
     短期借入金 || 長期借入金 || 合計
JAL 79,088 || 20,811 || 99,899
ANA 57,705 || 715,409 || 773,114

に対して、支払利息
JAL:10,962
ANA:19,721

確かにこれだけ見ると金利は低い「かも」しれませんね。

>航空会社の減価償却費として大きいのは、言うまでもなく高額な航空機への投資だ。航空機の簿価を比較すると、~
これを比較できる情報が十分に取れませんでした。。残念。

>無視できないのは、破綻に伴う資産評価損計上によって、減価償却費が大幅に抑制されたということだ。これが日本航空の増益に大きく貢献している(新聞報道によると約500億円のコスト削減効果があるという)。
キャッシュ・フロー計算書から見ると
JAL:81,222
ANA:119,268

う~ん、元々の減価償却費を見てないのでなんとも言えませんが、500億円くらい圧縮されたかもしれませんが、保有していた機体の売却や、オペレーティング・リースに切り替えオフバランスしてしまえば、現時点の航空機で369,502もの資産額なので、償却期間って20年ですかね?として、例えば3割の機体を売却、オフバランスしてしまえば、ひねり出せませんかね。
まあ、他の方法も組み合わせれば、500億円はデカいとしても相当額の減価償却費の圧縮は可能だったんじゃないかと想像しています。
(繰り返しいいますが、あくまで破綻した企業であればできるという意味です)

ということから、確かにゲタを履かされているという部分に対して想定される部分もあるとは思いますし、短期的に出ている高収益とも見えるのは事実ですが、通常の企業再生として行った成果も十分見て取れるのではないかと思っています。

余談ですが、見ていてびっくりしたのが現預金の多さなんですよ。
JAL:272,475
ANA:41,867
なんと5倍以上持っている!!

営業未払金は
JAL:125,185
ANA:180,804
なので、そんなに差は無いですし、他に見ても瞬間風速的に持っているだけには見えないんです。
なんに使うんでしょうね。もっとお金返せますね。

2012年9月11日火曜日

Java EE 仕様策定における問題点について(妄想)


食後の眠気を堪えられず、集中力が切れる時間帯にGoogle+を徘徊していたら、Kazunori Satoさんの次のようなポストがありました。自らの理解を確かめるように、文章に起こしてみたいと思います。
"分散システムはそれでなくても複雑で、ましてクラウドのような大規模分散システムは常軌を逸した世界。それが実現できているのは開発と運用を一体化しているから" 私もそう思います!
そのポストにあるリンク先を見ると、(続き)とあったので原点ポストを見てみると

以下のニュースが引用されていました。
Oracle が Java EE 7 計画からクラウドサポートを削除


次のポストが、
とありました。疑問が生じたので、以降のツイートも参照してみました。


その疑問を解消するために、まず、こういう解釈で間違いでなければ、同意できるというものを挙げてみます。

解釈1:クラウドサービスの開発と運用は一体でなければ難しい

これは、完全に同意できる解釈なのですが、おそらく違うと思われます。
サービスの開発と、技術開発というのは別物という理解の下、伊藤教授はツイートされているように見受けられます。

ちなみに上記での言葉について意味合いを示しておきます。
サービスの開発:例えばGmailやGoogle Calendarといったサービス自体の開発
技術開発:サービスを実装するために必要となる技術要素の開発、例えばフレームワークなどの開発。

解釈2:クラウドサービスの提供に必要となる技術開発は、運用を行う母体(一般的には企業)は同一でなければ技術開発のスピードは促進されない

これも、完全に同意できる解釈です。
伊藤教授は、これを仰りたいのではないかと、当初も、今現在も感じております。

しかし、そうだとすると、その技術開発とJava EE 7の仕様策定計画から、ある仕様が外れたこととのリンクが難しく思いました。

これも想像ですが、

現時点ベンダーに依存したクラウドサポート仕様が、Java EEの仕様に組み込まれることで標準仕様となることが望ましいという前提があるとします。その上で伊藤教授の主張が、
「Java EE 7の仕様策定が計画から遅れ、結果的にクラウドサポート仕様が落ちてしまいそうな状況に陥っている原因が、運用を知らない(運用を担っていない)人が仕様策定を行なっているからだ。」

というものだと想定すると、この主張には疑問が残ります。
その疑問というのは、

『「ある機能を担う人と、リンクする別の機能を担う人は、一体であるべき」という主張が正しいとして、はたしてどれだけのケースにおいてその人が同一人物なのでしょうか。』

というものです。

一般的にこの【一体】と言われた時、人は個人ではなく法人を指していると思われます。組織として一体となれという主張です。

Java EE 7の仕様策定のチーム運営に対する理解が間違っていれば別ですが、基本的には外部からの仕様化に対するリクエストをベースに仕様策定に望んでいると思っています。
オープンなチームとして機能しているはずで、Javaの技術者コミュニティーとして一体となっているのではないのでしょうか。

もし、上記の理解が正しければ問題点は次のいずれか、もしくは複数要因となると思います。

  1. サービスの開発や運用に従事しているJava技術者のコミュニティーに対するコミットメントが足りない
  2. Java EEの仕様策定チームが、コミュニティーとしての機能を十分に果たしていない
  3. Java EEの仕様策定チームが、最新の実装に対する理解が拙い


個人的な想像でしかないですが、上記1の要因が強いのではないかと懸念しています。
Javaはもう枯れた言語と言っていいレベルに達していると思います。すると、技術者もコミュニティーへのコミットメントが下がり、利用する側の立場が強い、もしくはその立場しか持たない人が多数になることは仕方のないことだと思います。

これはコミュニティーを盛り上げるしか、対策が思いつかないのですが、今後も暫くの間、Javaは重要な言語で在り続けると思っているので、なんとか頑張ってもらいたいものです。

2012年8月27日月曜日

週刊ダイヤモンドのオンライン記事 ~シャープ奥田社長へのインタビュー ~を読んで



週刊ダイヤモンドのオンライン記事 ~シャープ奥田社長へのインタビュー ~を読んで感じた事を書きたいと思います。


こういった記事の重要さを書く側が認識してない(※)のは相当困ったもんなのだが、インタビューに応える側としても、ちょっと問題を感じたのでメモ程度になるかも知れませんが、書いておきたいと思います。

※このオンライン記事、おそらく紙媒体の訂正記事だと思われ、訂正内容が目につきますどういう編集プロセスを経るとこうなるのか不思議です。


以下、主に企業側の意識の問題を指摘しています。
一言一句の揚げ足取りに見えるところもあると思いますが、私は言葉に想いが乗っていると考えていますのでそういう指摘の仕方になります。もし違った表現をされたのであれば、伝え方の問題か、記事の編集に悪意があるかのどちらかでしょう。

企業として未確定情報を話すことができないのは重々承知した上で、IRとしても、広くPRとしても問題を感じる所を指摘しています。


まず、次の一文。
私も格付け機関などに足を運んだが、格付けの低下によって、今後はCPなどの直接金融による資金調達が難しくなるだろうと思っている。
こういった因果関係を外した言い方には問題があると思います。
この切り取り方に悪意があるわけでは無いですが、直接金融が難しくなることは、格付け機関のせいと思っているのか?と感じる。そんなことは無いだろうと信じたいが。
ここは大きく、事業の見通しを示せていないと自社経営陣のパフォーマンスに対してしっかりと責任ある発言をしてもらった方がいいのではないかと思います。


次に、
──足元の財務状況を踏まえたらこれでは済まないのでは。
 銀行側とは、お互いに協力し合いながら、12年度下期(*)の営業利益の黒字化と、13年度の最終利益の黒字化を目指すことで一致している。それをきちっと達成できるように考えていきたい。
私の考えすぎだと言われるかも知れませんが、銀行と経営しているように見えませんか?日本企業(特にメーカーに色濃く)は、銀行に対して弱い。株主よりも銀行を意識しているような気がしてならないです。
──資金をサポートする銀行側と、事業を手がけるメーカー側の立場の違いもある。
 金融業界の方々と、事業会社をやっている人とでは、やはり感覚が違うところがある。金融業界は、非常に短期的な見方がある。しかし今は短期的な問題と、長期的な問題を、どう切り分けながら解決していくかが重要だ。
 銀行側とはお互いに情報交換しながら進めていくことが重要だと痛切に感じている。ただ事業をやっているわれわれが、強い信念を持たなければならない。

金融業界というか、お金を出した側は、その回収に対して注力するのが当然で、短期借入を銀行からしているのであれば、短期的な見方で当然。長期的なものの見方をしてもらうようなお金の借り方ができていないだけでしょう。

この記事では素晴らしい切り込み方をしていますが、次のやり取りも興味深いです。
──そもそも赤字事業である太陽電池は、国内に製造拠点を持ち続ける理由があるのか。
 国内の住宅用の太陽電池「ブラックソーラー」などを作っている。いろいろな屋根のデザインに応じた細かな提案ができるため、お客さまからの引き合いが強い。これは海外では調達できない。

上記の後にくる言葉として「売るのが難しい」というのは本音だろう。しかし、上記部分は回答になっていない。引合いが強いと赤字解消が望めるのか?需要は有っても期待価格水準が下がっていないか?そう考えてしまうのが通常の読み手だと思う。


残りは、インタビュアーの素晴らしい切り込みを続けてご紹介。
──赤字の元凶となった大型の液晶パネルはどうか。 
──シャープの液晶パネルや太陽電池など、「オンリーワン」のデバイスは魅力的だが、経営上の数字が伴っていない。 
──コスト的にメリットがあれば、鴻海グループに売却、譲渡するということか。
結構、聞きにくいこと、答えにくいことをスパっと聞いたのだろう。全体として記事の歯切れは良く、読みやすいのだが、うっかりすると上記のような点を忘れがちだと感じたので残しておくこととしたい。

2012年8月24日金曜日

高木先生と武雄市の樋渡市長のブログでのやり取りについて


高木先生と武雄市の樋渡市長のブログでのやり取りについて、思うこと、分からないことをちょっと列記します。
ご指摘いただける部分があれば幸いです。

1.高木先生は何を批判したいのか?

これね、結構重要なことだと思うんです。
私が感じている範囲だと、「批判の対象者が、自身の個人情報に対するスタンスについて、明文化されているものと発言しているものとで異なるものの場合、個人情報保護の観点からリスクがある」という主張をもっていて、それを指摘したいというのと、個人情報取扱いにおける明らかな間違いを指摘したい、というように見受けられます。

批判の対象者は基本的には全方位。しかし、行政とTカードは要注意先となっているようなイメージ。
武雄市について何を批判したいと思っているのか?については次に紐解きたいと思います。

2.武雄市の何がいけないのか?

実は、さっぱり要領を得てません。グレーゾーンだよというのならしっかりと議論すれば良いのですが、高木先生も樋渡市長も、お互いに「間違ます」と仰っています。
しかし、ブログを見る範囲では、双方に対する間違いを、明らかに指摘できていないとおもいます。(←私が個人情報取扱に関するプロではないから分からないというのは批判の質としては不十分でしょう)

まず、高木先生の指摘ですが、
照合によって「特定の個人を識別することができることとなる」場合を含むとの括弧書きが欠けている
というものです。
う~ん、私の考え違いだとも思えるんですが、条例や契約の文書に書かれていることって、裁判になった場合、例えばこの括弧書きがあるかないか、その中身がどうであるかよりも、判例に従う部分の方が強いと認識しています。
とした場合、「括弧書きがあっても無くても変わらなくね?少なくとも文書上は」というような印象を受けます。

となると、指摘するなら条例の条文ではなく、実際の運用を確認した方がいいと思うのですよ。
私、コンサルタントというものを生業としているもので、ルールの正確性よりも、ルールに基づいた運用をしているか?であったり、運用が法令から外れるようなことは無いか?ということの方をよっぽど重要視しています。
運用が正しくてルール(文書)が間違っているケースも世の中には存在しています。その場合正すのはルール(文書)です。

もう一つの指摘の、Tカードにどんな情報を提供するのか?の部分ですが、こっちはもっと要領を得ない訳です。
以下、高木先生のブログからの抜粋的引用になりますが、
Tカードを利用してポイントが付くようにしてほしいと希望された方
においては、
個人が特定できる情報ではなくて、Tカードを使うと会員番号と何月何日何ポイント付いたという情報がCCCのポイントシステムにいく
というのが「7月10日の武雄市教育委員会臨時会の会議録」にあったそうです。それに対して高木先生、
そらみろ、条例でちゃんと明文化しないからこういうことになる。
え?こういうことってどういうことですか?質問されるってこと?
一方、樋渡市長は、上記のCCCに行く情報を言い換えていて、
会員番号の何とかさんが図書館で何時何分何点借りましたって、うん、いうのだけ行くんですね。ですので、そういう意味じゃこれ個人情報じゃないんですよ。
という情報だと言っていて
高木先生、
どうしてこうも個人情報でないことにしたいのか謎と言わざるを得ない。
とありますが、私が今、客観的にみると、

どうしてこうも個人情報ということにしたいのか謎と言わざるを得ない。

となります。ちょっと語弊があるかもしれないので補足しますと、
公開するべき情報ではないというのは確かにその通りですし、漏洩したらなんらかの対処が必要であるのも間違いないです。
また、『他の加盟店での利用履歴を基に、その人が、図書館で本を沢山読む人で、文房具を良く買う人だから、~~~という類型に当てはまる人だから、~~~なことをする。』という活動がダメだというのなら、それは武雄市の問題ではなく、CCCの問題なので樋渡市長に言うのはお門違いです。

で、上記の情報が(個人情報保護法に定める)個人情報だろうがなかろうが、CCCに渡す上での同意は得る必要があって、武雄市でも
こういうふうに情報が提供されますが、いいですねと規約をお見せして同意をいただきます
とある。それに対して、高木先生、
現状のTポイント加盟ドラッグストアと同程度のことしかしないつもりのようだ。こういうことを自治体がする場合には、重要となるのは「こういうふうに情報が提供されます」だけでなく、「こういうふうに利用されます」という説明なのに、それをしないつもりなのか。
とあるが、続いて
実は、「こういうふうに利用されます」というのは、誰も説明できないかもしれない。なぜなら、CCCがそれを企業秘密として明かさない*2からだ。
え?さらに続いて
ひとつのやり方は、ポイントの払い出し以外の目的(マーケティングその他のため個人を分析する目的を含む)での利用を禁止する契約をCCCと締結することだろう。そうすれば、Tポイントの図書館での利用についての利用者の同意をとることは容易となる*3。
ということは、根本的に言えば、自治体がTカードの利用をすることが間違いだと言いたいのだろうか?

ここまで追いかけて頂いた方には分かっていただけると思うが、
武雄市の個人情報取扱に対する指摘は、何が正しいか、間違いかという話ではなくて、どうあるべきか?という議論をした方がよい。
一方で、自治体がTカードを利用することについては、自治体という位置付けから考えて正しいか、間違いかという議論だろう。

上記のやり取りや、高木先生の主張、私自身の理解に基づいて言えば、自治体がTカードの利用をすることは、問題が多く、高いリスクとなることも多いので、利用することは合理的とは言い難いので控えるべきだという理解です。



残る疑問は、個人情報ってそもそもどういう定義?です。
個人情報保護法に則った定義は勉強不足で知りませんが、個人の感覚としては高木先生が仰っているのは過剰じゃないかと思ってしまいます。

世の中には、高木先生くらいの個人情報に対して保守的(?)な方もいらっしゃると思いますが、企業が十分な情報を得ることにより、私達の生活が豊かに、便利になることもあるわけで、その選択ができればいいのだと思います。

高木先生の指摘は分かりますが、もう少しやわらかい物腰で批判してもらいたいなぁと思いました。