2011年11月8日火曜日

TPPの交渉参加是非の議論に乗っかり考える ~第一次産業編 ~

日経ビジネスからのメール、タイトルは
「【日経ビジネス11月7日号】TPP亡国論のウソ ~第3の開国と農業再生、今こそ決断の時~」


これを読み始めて正直驚いた。以下、抜粋となるが、読んでいただきたい


■□■□■□■ 以下、編集長のコメント抜粋 ■□■□■□■
 「中小企業、海外に集団進出」。TPP(環太平洋経済連携協定)をテーマにした今号
の特集のゲラを読んでいる時に、日本経済新聞・一面記事のこんな見出しが目に留まり
ました。円高や大手企業の海外シフトを背景に中小企業が海外進出を加速している姿を
報じていました。記事によれば、国内有数の町工場の集積地である大阪府東大阪市では
従業員数が4人以上の工場数が2年前よりも15%減少しているとのこと。東京都大田区や
埼玉県川口市でも2割程度減っているそうです。


 「地方都市の工場が海外に転出すれば、農家が海外に出稼ぎに行かなければならなく
なる」。特集の中で、TPP賛成派の山形県のコメ生産者がこう予言していることと重な
りました。


 国内農家の大半は、年間の農業収入が100万円に満たないコメを副業とする農家です。
つまり、会社勤めなど、ほかの収入で生計を立てています。地方に工場や中小企業の
オフィスがあるからこそ、農業を続けられているという側面もあるわけです。もちろ
んTPPに参加すれば、中小企業の競争力が一気に回復するというほど単純ではありませ
んが、TPPに背を向ければ、コメ農家の生活が守られるというほど、事態は甘くありま
せん。


 特集のタイトルは「TPP亡国論のウソ」。こんな論陣を張ると、「日経ビジネスの読
者の多くは会社勤めをしているからTPPに賛成するのでしょう」と思われがちです。し
かし、我々はもう少し広い視野でTPPを論じているつもりです。特集班の中には実家が
農業に従事している地方出身者がいることも書き添えておきます。



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■□■□■□■ 以上、抜粋 ■□■□■□■


文章はちゃんとしているのだが、農業収入が100万円に満たない「コメ」を副業とする農家を守りたいがために、え?TPPを辞めたいと言っているの?

以下、農家の分類(出展Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%B2%E5%AE%B6

専業農家
全収入を農業収入のみに頼っており、世帯員中に農業以外に就業している兼業従事者のいない農家。
第一種兼業農家
農業以外の仕事(会社勤めなど)で収入を得ている農家のうち、農業での収入が、全収入の50%以上の農家で、世帯員中に1人以上の兼業従事者がいる農家。
第二種兼業農家
農業以外の仕事(会社勤めなど)で収入を得ている農家のうち、農業での収入が、全収入の50%以下の農家で、世帯員中に1人以上の兼業従事者がいる農家。


上記日経ビジネスの編集長が言っている「農業収入が100万円に満たない「コメ」を副業とする農家」は恐らく、上記の第二種兼業農家を指すのだろう。農水省によれば、平成23年の概数で全体で157万戸中、91万戸を指している。確かにボリュームはある。


逆に、世帯員中に農業以外に就業している兼業従事者のいない農家である専業農家を見てみると、44万戸だ。よく見て、よく考えてもらいたい。専業農家の条件はニアリーイコールで農業からの収入だけで生活している世帯を指していて、それが44万戸である。
恐らくこちらがボリュームゾーンだろう。
各種別の生産高が見つかればいいのだが、見つかっていない。


改めて編集長の言を見てみると、「地方都市の工場が海外に転出すれば、農家が海外に出稼ぎに行かなければならなくなる」とある。
工場勤務と農業を兼業している場合に、工場が移転した。その時、個人の選択は必ずその工場を取ると言っているのだろうか。逆に、農業に専念する世帯は無いのだろうか。


ちなみに、個人的な関係での個別の情報で申し訳ないが、知っているオーストラリア人は「日本人は親が農家じゃないから子供が会社に依存するんだ。俺達は会社なんて遊ぶ金のために腰掛けでやってるから依存しない」と言っていて、トンデモナイ広い敷地の実家から会社務めをしている人が沢山いると聞いた。大半が兼業農家だということだ。


もちろん、オーストラリアと日本では作地面積や、気候の違いなどがあるが、日本人の中でもよく聞くのが、「これまで親が農業をやってきたが体も限界。農業を継ぐか、その土地を売るか悩んでいる。」という話だ。


つまりは、解決すべきは、現在農業を営んでいる65歳以上の方々が見ている日本の農業の未来ではなく、根本的に日本の農業はどのようになっていくかの全体像が見えないという問題なのだと思う。
関税の非対称性などが問題ではないということだ。(関税については簡単に調べたが、全体像を明確にすれば撤廃できそうな気がしている)


脱原発に関するコメントでダライ・ラマが言っている様に「常に物事は全体を見るべき」なのだと思う。
http://www.j-cast.com/2011/11/07112352.html




今後、第二次産業、知財、TPPは誰との協定なのか?などについて考えるようにしたいと思っている。





以下に、食品についての関税について簡単に調べたので残しておく。世の中が食品についてばかり話題にしているので、自分なりの考えを確認しておきたいためだ。
(個人的には、TPPの論点は食品や工業製品ではないと思っているためだ。)


■食用肉
食用肉の関税は
牛が部位にもよるが、概ね50%
豚が部位にもよるが、概ね5%
それ以外の肉は、概ね10~20%程度である。


牛の生産高のうち、ブランド牛の割合がしりたいが、感覚的にはかなりの量を締めていると思われるので、関税が0%になったからといって大打撃を受けるという主張は、ブランド牛としての販売努力が足りないと言えるのではないだろうか。
牛以外の肉に関していえば、関税で守られているというほどの関税でもないし、既に国産を買う層と、安い肉を買う層が明確になっていると想定される。
したがって、食用肉に関して頑なにTPPに反対する理由は見付からない。


■野菜
野菜に関してぱっと見た感じだと、高い関税率(21%以上)の食品は見当たらなかった。
果物でバナナやパイナップルが高いと思うが、目的が良く分からない。守られているかもしれない国産品を見たことが無いからだ。


■穀物
穀物はそれぞれ著しく高いが、小麦の場合、おそらく国産品の用途は高級品向けに限定されていると想定されるのでインパクトを感じない。
米だが、日本人で国産米を食べない人がどれだけいるだろうか。以前の米不足騒動を思い出してもらいたい。カリフォルニア米やタイ米、インド米、いずれも日本人の消費者には受け入れられなかったはずだ。関税が無くなって安い状態で逆に少ない国産米が高値で取引されるという結果になったという事象が、米への関税が無意味であることを物語っているのではないだろうか。


■食用肉魚介類
魚類に関しては正直、仕組みが良く分からないので触れないこととしたい。
何が輸入で、何が遠洋漁業なのか、その定義の方が怪しいのではないかと思っているためだ。



以上が、食品に関する情報の整理である。



関税に関する情報ソース
http://www.customs.go.jp/tariff/2011_8/index.htm


生産高などに関する情報ソース
http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/index.html





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